メニュー

一般皮膚科

医療機器(保険診療)

湿疹

かゆみが生じる皮膚炎が湿疹です。はじめのうちは、皮膚に赤みや腫れが見られ、小さな水疱(水ぶくれ)の発疹もみられます。
やがてこの水ぶくれが消えていくと今度は乾燥したボロボロの皮膚が落ちるようになります。
この間に、かゆみを我慢できずに掻き壊すなどすると病変は広がり、さらに症状を悪化させることになります。

湿疹は、花粉、ハウスダスト、薬剤、細菌といった外的因子が皮膚に侵入しようとする際にそれらを排除しようとして引き起こされる炎症反応です。
症状の程度については、その時の健康状態やアトピー素因などの内的因子によって異なります。

なお、湿疹とは皮膚に炎症を起こす疾患の総称ですが、アレルギーによる湿疹であったり、原因の物質に触れたことで起きる湿疹など原因が特定されている場合は、かぶれになります。

治療の基本はステロイド薬の使用になりますが、かゆみが強い場合、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の内服も併用します。
ただ、症状が治まったとしても再発を繰り返すこともあります。

アトピー性皮膚炎


体や両手、両足などにかゆみのある湿疹が左右対称で発症する慢性的な皮膚疾患です。
良くなったり悪くなったりを繰り返すのも特徴で、皮膚が乾燥しやすい素因(ドライスキン)とアトピー素因(アレルギーを起こしやすい体質)を併せもっている方が発症しやすいと言われています。

初期症状では、粉を吹いたようなかさついた状態がみられ、首や耳たぶ、関節の周囲など皮膚の柔らかい部分によく現れます。
炎症の程度は患者様によってそれぞれ異なりますが、症状は全身におよびます。

これまでアトピー性皮膚炎は小児に多く見られ、成長するに従い治る患者様が以前は多かったことから小児特有の症状とみられていました。
ただ最近の傾向として、成人になっても症状が治まらないばかりか、さらに悪化したり、慢性化する患者様が多く見られるようになりました。
その原因というのはまだ明らかではありませんが、遺伝的な体質や、環境要因(ストレスなど)が影響して発症するのではないかと考えられています。

アトピー性皮膚炎は、薬物療法による治療が中心で、主にステロイド外用薬や軟膏などを用います。
新しい治療として、免疫抑制剤、分子標的薬の外用や内服、生物学的製剤の注射、ナローバンドUVBエキシマ光線など紫外線治療の併用などがあります。
そして、これに併せてスキンケアも怠らないようにします。
このほか症状によっては、補助的に抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などの内服薬を使用する場合もあります。

 

お薬を塗るのが全ての基本だよ

症状が悪化した場合には短期的にステロイド剤を内服することもあります。中〜長期的な治療の戦略として8~12週程度の免疫抑制剤の内服(血液・尿検査が必要です)、JAK阻害薬の内服、生物学的製剤の注射を用いることもあります。効果が高い反面、副作用、経済的な負担などに関しても患者様の基礎疾患や背景、経済的状況などを相談しながら治療方針を一緒に考えていきます。


脱感作療法では、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの悪化因子を調べ、スギ花粉アレルギーの場合にはシダキュア、ダニアレルギーの場合にはミティキュア内服を行うこともあります。
シダキュア、ミティキュア内服の前にはそれぞれスギ花粉、ダニアレルギーの有無を調べなければいけません。小さいお子様のアレルギー検査や、早く結果を知りたい患者様のために、指先(乳児は踵)からの少量の血液で、20分程度で8種類のアレルゲンがわかるイムノキャップ、30分程度で41種類の結果がわかるドロップスクリーンという機器を用いた検査を導入しております。

他にアトピー性皮膚炎で悪化要因を調べたい患者様は、採血でView39(39種類のアレルゲン)を調べることも可能ですし、イムノキャップ、ドロップスクリーンで調べることも可能です。
採血が苦手な方には、プリックテスト(ダニ、スギアレルゲン:所用時間30分)もございますが、ちくっとするのは同じかもしれません😱。
ご希望の方はお問い合わせください。(診療終了時間に近い場合には、午前なら午後、午後なら翌日以降の結果のお知らせになりますのでご了承ください)。




当院のドロップスクリーン(instagramもご覧ください。)です。

ドロップスクリーンで調べることのできるアレルゲン

 

 

かぶれ(接触皮膚炎)

皮膚に直接触れたものの刺激や毒性が原因となって起こる炎症や湿疹がかぶれであり、正式には接触皮膚炎と言います。
症状としては痛みやかゆみが伴うことが多く、接触部位に赤い腫れが現れるほか、水ぶくれやブツブツが見られることもあります。

なお、かぶれの原因はひとつとは限りません。
具体的には、塩酸や強アルカリ物質などの刺激が原因で発症する刺激性接触皮膚炎、金属や化学物質などが原因で発症するアレルギー性接触皮膚炎、皮膚にある物質が接触している際に太陽光を浴びるなどして起こる光接触皮膚炎があります。

かぶれの治療でも湿疹同様に症状を抑えるステロイド外用薬を用います。
かゆみを抑えたい場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を使用します。
また重症のかぶれの場合は、ステロイドを内服するほか、医師による経過観察なども必要になります。

かぶれの状況によっては、原因物質のパッチテストや、日本人がかぶれやすい物質を中心にしたジャパニーズスタンダードパッチテストを行うことがあります。
これは、検査に1週間程度を要する検査です。貼る時、2日後、3日後、1週間後にパッチテストの反応を見るために医師の診察を受ける必要があります。(2日間は入浴、シャワー浴ができません。夏期など汗をかきやすい季節の検査も試薬が汗で流れてしまうためあまりおすすめできません。)
原因物質の調整など、ご相談に応じます。パッチテストの部位は主に背中や二の腕ですが、季節、体質、生活状況によって貼る場所を医師と相談しながら決めます。
診察時に色々ご相談ください。

皮膚そう痒症

かゆみは生じるものの皮膚には発疹や湿疹など何もできていない状態が皮膚そう痒症です。
かゆみの症状については、全身のあらゆる箇所がかゆくなる場合と、限られた部分(陰部など)がかゆくなる場合があります。

かゆみの原因については完全に解明されたわけではありませんが、このような場合は、肌が乾燥したことによる、ちょっとした刺激でかゆくなることも考えられます。
なかでも高齢者の方は、加齢により皮膚の水分や皮脂の分泌が少なくなるので、乾燥しやすい冬の季節はとくにかゆみが起こりやすいです。

そのほかにも、腎臓、肝臓・胆道系疾患、糖尿病やホルモン異常、血液疾患、悪性腫瘍、さらには内服薬などが原因になってかゆみを引き起こしている場合もありますので、原因疾患がある場合には、診察前の問診(Web問診をご利用ください)で持病があるかどうか教えていただくこと(わからない場合にはお薬手帳をご持参ください)、その検査と治療が必要です。

なお肌が乾燥していることでかゆみが起きている場合は、保湿薬をしっかり塗るなどしてケアすることに努めます。
なお、保険診療で処方できる保湿剤の量には上限がありますので、足りない場合には市販の保湿剤をご紹介いたしますのでおたずねください。

じんましん

何の前触れもなく、皮膚の一部が突然赤くなって盛り上がり、強いかゆみも伴い、人によってはチクチクした痛み、熱く焼けつくような痛みを感じることもあります。
それでもしばらく時間が経過(数分~24時間以内)すると消えてなくなります。かさつきは見られません。

じんましんは、アレルギー性もしくは非アレルギー性が原因で発症する場合と原因不明の突発性じんましんのケースがあります。
突発性の場合は検査(皮膚テスト、血液検査IgE RAST法、一般血液検査など)を行うことで、特定することもできますが、それでも判明しないことは少なくありません。

なお、アレルギー性によるじんましんの原因物質には食物(卵・小麦・エビ・カニなど)や薬剤、植物、虫刺され(昆虫)が原因となって起こることがあります。
非アレルギー性では、汗を掻く刺激で起きるコリン性じんましん、日光にあたることで起きる日光じんましん、皮膚を掻くことで起きる機械性じんましんなどがあります。

治療に関してですが、じんましんの原因が判明している場合、原因物質との接触を避けるようにします。
薬物によるアレルギー性じんましんであれば、直ちにその薬の使用を中止します。

続いて原因となる物質を取り除いた後の治療法ですが、突発性じんましんも含め、かゆみの症状があればそれを抑える抗ヒスタミン薬を用います。
重症であれば、免疫抑制薬やステロイドの内服薬を使用することもあります。
原因不明の長期に続く慢性特発性蕁麻疹に対しては、注射による治療もご提案することがあります。
多くの方は数日で症状が治まりますが、それでも医師の指示に従って飲み続け、徐々に薬を減らしていくようにします。

尋常性乾癬

うろこ状の斑点が急激に増えていく症状を乾癬と言います。
よく見られる症状は、皮膚が赤くなって盛り上がり(紅斑)、徐々にその表面が銀白色の細かいかさぶたで覆われ、やがてそれがフケのように剥がれ落ちていきます。
かゆみは約半数の患者様に現れます。

また、紅斑の大きさや数、形などは様々で、発疹が癒合して大きな病変を形成することもあります。
紅斑のできやすい部位は、頭部、肘・膝、臀部、下腿などです。
なお、乾癬にはいくつかタイプがあり、これらの症状が見られる疾患は尋常性乾癬と呼ばれ、乾癬患者の9割以上が疾患しております。
青壮年期(16~50歳くらい)に発症することが多いのも特徴です。

発症する原因は、まだ完全に解明されていませんが、免疫異常との関係、あるいは遺伝的なところから何か環境要因が加わって発症するといったことが考えられています。
なお、感染症ではないので、周囲にうつす心配はありません。

尋常性乾癬以外の乾癬の種類には、爪の変形や関節炎を伴う関節症性乾癬、全身に発疹が見られる乾癬性紅皮症、喉が痛んだ後(扁桃炎)に雨滴状の小さな乾癬皮疹ができる滴状乾癬、重症の汎発性膿疱性乾癬などがあります。

乾癬は慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返します。
ただ多くの場合は、外用薬のステロイドやビタミンD3軟膏を主に使用する外用療法や免疫抑制薬などの内服療法を行います。
タバコやメタボリックシンドロームなどの生活習慣の改善も重要です。
このほかナローバンドやエキシマ光線を使った紫外線療法などを行うこともあります。
これらの治療がなかなか効きにくい場合には、分子標的薬内服、注射による治療(生物学的製剤)をご提案することもあります。
医師とよく相談して最善の治療を見つけましょう。

当院は日本皮膚科学会の生物学的製剤承認施設、分子標的薬使用承認施設となっております。
近隣の病院と連携しながら生物学的製剤や分子標的薬を用いた乾癬の治療を行うことができます。
他の承認施設からの生物学的製剤の継続使用のご紹介や、これから生物学的製剤を用いることを検討している患者様など、ぜひご相談ください。(注:インフリキシマブを除く)

脂漏性皮膚炎

脂腺が多いとされる部位(頭、顔、胸背部、わきの下、股など)に現れる湿疹を脂漏性皮膚炎と言います。
この疾患にかかる年代層は20~40歳代が多く、しつこいフケが頭、顔、耳に出るほか、一目でわかる赤みを帯びた発疹も出てきます。
場合によっては、かゆみの症状が出ることもあります。
なお、新生児や乳児にも同じような症状が現れることがありますが、この場合は乳児脂漏性湿疹と呼ばれます。

原因については、皮脂成分の質的異常や皮膚機能の老化のほか、でんぷう菌(マラセチア)の感染が関与しているのではないかと言われています。
なおマラセチアは、人間の皮膚に普段から存在する菌で皮脂を好みます。
皮脂が多い環境下では、異常増殖することがあり、その代謝物が皮膚に炎症を引き起こすのではないかとも考えられています。

治療を行う際は、最初に体をしっかり洗います。
ただ洗い方には注意が必要で、石けんやシャンプーを適切に使用しながら肌を強く刺激しないように洗い流します。
脂漏性皮膚炎の治療に適したシャンプーのご相談もお待ちしております。
その後、身体を清潔に保った状態で、ステロイド軟膏とでんぷう菌に効く抗真菌薬を塗るようにします。

皮脂欠乏性湿疹

皮脂の分泌が低下したことで、肌が乾燥をきたしてしまい角質が剥がれてしまった状態を皮脂欠乏性湿疹と言います。
症状としては、皮膚表面がカサカサしていたり、白い粉をふいたような状態で、ひび割れが生じることでかゆみや痛みが生じます。
このような症状になる原因は様々で、空気の乾燥、老化、洗剤や薬剤への接触などがあります。

治療については、肌を乾燥させないことが大切なので保湿剤を処方します。
これにより湿疹の発生や悪化を防ぎます。
また炎症を伴うのであれば、ステロイド外用薬を用います。
さらに強いかゆみがあるという場合は、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服薬を使用します。
なお、保険診療で処方できる保湿剤の量には上限がありますので、足りない場合には市販の保湿剤をご紹介いたしますのでおたずねください。

手湿疹

手湿疹とは手の皮脂や角質が落ちてしまう行為、例えば台所や洗濯などの水仕事、紙を頻繁に扱う仕事などをすることで皮膚のバリア機能が弱まり、それにより物をつかむなどの物理的な刺激に皮膚が過剰に反応、また刺激物が侵入しやすくなることで起きる疾患です。

症状としては、指や手のひら全体が乾燥し、皮がボロボロとむけている状態です。
さらに悪化すると水ぶくれや亀裂などができたりします。
この手湿疹はアレルギー体質の方が発症しやすく、他に職業性に手湿疹が治りにくい場合もあります。
最近のコロナ禍ではアルコール手指消毒を頻繁に行うことにより、湿疹ができやすくなっている方も多いです。
お子様では、砂遊びや頻繁のアルコール手指消毒、ゲーム機などのゴム接触で手湿疹を起こす場合もあります。
問診の際に、職業や生活の状況を詳しく教えていただき、一緒に治療への道筋を考えましょう。

治療についてですが、薬物療法としてステロイド外用薬と保湿薬を用います。
これにより、通常は1~2週間ほどで症状は改善しますが、湿疹の原因が取り除かれていないとなかなか治りづらいです。
場合によってはパッチテストのご提案もいたします。
職業上や生活上でどうしても原因を取り除けない場合には、治療をしつつ、なるべく皮膚を保護しながら症状とつきあっていく方法を一緒に模索しましょう。

痒疹

痒疹とは、かゆみの強い丘疹(皮膚にできるポツポツ)が現れる疾患です。
発症する原因は様々で、胃腸障害、虫刺され、肝臓病や糖尿病、あるいは血液疾患を抱えている場合などに起きると言われています。
また、アトピー性皮膚炎を発症している患者様に多くみられるのも特徴で、一種のアレルギー反応ではないかとも考えられています。
持病のある方は、問診にて是非教えてください。(是非お薬手帳をご持参ください)

症状としては、皮膚に大豆くらいの赤いボツボツができます。
これはかゆみが生じるので、我慢ができずに掻き壊してしまうと症状を悪化させてしまいます。
なお、5歳以下の子どもが発症する場合は1週間程度で治る急性の症状が多く、この場合はストロフルスとも呼ばれています。

また、慢性では、何ヵ月も症状が続き、硬いイボのようになってしまいます。
結節性痒疹と多形慢性痒疹に分類され、前者の場合は丘疹が四肢にでき、激しいかゆみが伴います。後者は高齢者に多く、わき腹や腰殿部によく発症し、良くなったり悪くなったりを繰り返します。
こちらも強いかゆみが生じるので悪化させやすいです。

治療では、炎症を抑えるステロイド外用剤、かゆみを抑える抗ヒスタミン薬を服用します。最近は結節性痒疹に対する生物学的製剤(デュピルマブ)の使用が保険適応となりました。
状況や症状により、診断や治療法は変わりますので診察の上で一緒に治療法を決めていきましょう。

水虫

水虫は、皮膚糸状菌(白癬菌)という真菌(カビ)によって生じる感染症で正式には足白癬と言います。足の裏や足の指の間などに白癬菌が寄生することで、その部位にあたる皮膚(患部)がジクジクしたり、かゆみが現れるようになります。
感染原因としては、ひとつのスリッパを不特定多数の人が履く、ひとつの足拭きマットを複数の人が利用している場合などのケースが指摘されています。

なお水虫の症状はひとつではありません。
大きく3つのタイプ(趾間型足白癬・小水疱型足白癬・角質増殖型足白癬)に分類されます。
それぞれのタイプの特徴ですが、足の指の皮が剥けたり、指の間が赤くなったりするのが趾間型足白癬です。
また足の裏などに小さい水ぶくれができるようになるのが小水疱型足白癬です。
さらに足の裏やかかとが硬くなってしまうのが角質増殖型足白癬です。
水虫の部位の皮膚の表面の角質を一部とって、顕微鏡を見て皮膚糸状菌(白癬菌)の有無を検査します。2~3分で検査できます。

水虫の治療では、抗真菌薬を用います。
白癬菌が角層のみに感染しているのであれば、抗真菌作用のある塗り薬で十分です。
なお角層が肥厚している角質増殖型や白癬菌が爪に寄生している場合は、内服薬を用いる必要があります。
また薬物療法以外にも、日頃から足を清潔にしておく、乾燥を保つといったことも治療や予防には有効です。

爪白癬(左)と、顕微鏡で見る白癬菌の正体(菌糸):虫ではないので動きません💦

いぼ

ヒトパピローマウイルス(HPVウイルス)に感染することで発症する腫瘤がいぼであり、正式には疣贅(ゆうぜい)と言います。

でき始めは平らで小さく、時が経つにつれて徐々に大きく盛り上がっていきます。
そして大きくなると、表面がザラついて硬くなります。
いぼ自体に痛みやかゆみは生じません。
また、足の裏にできた場合は圧迫を受けるので盛り上がることはありません。
ただ、歩くと痛みが出ることもあります。

いぼは、見た目が気になるので除去したいという方もいるかと思います。
そのため、爪などで自ら引っ掻いて治そうとすると、ウイルスを撒き散らすおそれもありますので、いぼが気になる方は、数が少ないうちに一度ご相談ください。

治療につきましては、主に液体窒素による凍結療法を多くの場合行います。
これは繰り返しいぼを凍らせることで、いぼの組織を凍結壊死させ、取り除くという療法です。
なお、1回で治し切ることは困難です。
そのためだいたい1~2週間おきに何回か繰り返し通院するようになります。
治療に伴って水ぶくれ、血ぶくれができることがありますが、これはいぼが皮膚からはがされている治療のための反応です。
破れて中の液体ができるようであれば、絆創膏で保護しても大丈夫ですが、通常は次の治療までそのままにしておいてください。
難治性のいぼには炭酸ガスレーザーを用いた治療も行っております。(局所麻酔を行います)

クライオスプレー

綿棒を用いたいぼ冷凍凝固法

 

いぼに対する免疫を高めるために、ヨクイニンという漢方薬を飲む場合もあります。
ただ、ヨクイニン単独では治療には時間がかかります。

暗示療法として、いぼとり地蔵が昔からそれぞれの地域で言い伝えられております。
もしご興味のある方はご相談ください。

南浦和で有名な「いぼとり地蔵」

当院では開院以来、綿棒による液体窒素冷凍凝固法を行ってきましたが、症状にあわせて液体窒素スプレーも導入することにしました。どうしてもだめな患者様にはスピール膏で根気よく治療もしております。
少しでも治療時の苦痛の軽減に努めたいと考えております。

ウイルス性発疹症

何らかのウイルスが体内に侵入することで、皮膚に発疹が現れる症状の総称をウイルス性発疹症と言います。

代表的なウイルス感染症には、麻疹ウイルスによる空気感染で発症する麻疹(はしか)、風疹ウイルスの飛沫感染で発症する風疹(三日ばしか)があります。さらにヒトヘルペスウイルス6型に感染することによる突発性発疹、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどの感染によって夏季の季節に多く発症する手足口病、水痘・帯状疱疹ウイルスによる水ぼうそう(水痘)、ヒトパルボウイルスB19の飛沫感染による伝染性紅斑(リンゴ病)などもあります。

多くは小児で発症する病気ばかりと思われますが、いぼ、帯状疱疹、ヘルペスなどもウイルス性発疹症の一種ですので、大人も決して無縁というわけではありません。

これらの治療については、ウイルスに効く特効薬というのはありませんので、多くの場合対症療法となります。
ウイルス性発疹症を疑われる疾患の中には、肝機能障害や血液異常を伴うもの、重症の場合には高次医療機関での入院治療を要するもの、使用している薬剤の関連するものもあります。
かならず内服している薬がありましたら、教えてください(お薬手帳をご持参ください)。

梅毒

トレポネーマ・パリダムと呼ばれる細菌が原因となって発症する感染症が梅毒です。
主に性行為を行うことで感染します。
細菌の潜伏期間は、3週間程度です。
近年急速に患者数が増加しています。

症状は感染時期によって異なります。
感染から3ヵ月ほどの期間を第1期と言い、この頃は性器や口といった感染部位に赤い色の硬いしこりやただれができ、近くのリンパ節が腫れるようになります。
第2期になると、3~12週間くらいの間に、発熱、全身倦怠感などの全身症状のほか、皮膚に様々なタイプの発疹が現れるようになります。
また第3~4期では、10~30年の間に心臓や血管、脳が冒されるようになります。
現在はこの第3期から先に病状が進むことは極めて稀ですが、HIV感染症を併発していると病状の進行は早まります。

症状から梅毒が疑われる場合は、血液による抗体検査を行います。
検査の結果、治療が必要となったら、ペニシリンなどによる薬物療法を2~3ヶ月程度行い、検査値の改善を見て治療は一旦終了となります。
なお、梅毒を放置すると病状がどんどん進行し、精神に異常がみられたり、死に至ったりすることもあります。
パートナーから、パートナーへの感染も疑われます。
特に妊婦への感染は胎児が先天性梅毒にかかるリスクがありますので、治療と伴に産科との連携を行います。
プライバシーに関しましては、パートナーと一緒、または別々であっても午後の予約診察枠での診察も承りますので、私達もなるべく通いやすく、ちゃんと治す皮膚科をめざして日々精進いたします。

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス(6型か11型が多い)が病原体であり、性交による皮膚・粘膜との接触で感染し、発症するのが尖圭コンジローマです。
性器にいぼのようなものが発生することで気づくことが多く、かゆみや軽い異物感を覚えるくらいで痛みが生じません。
男性は陰茎の上あたりに、女性は腟入口部や大・小陰唇などに発生します。

治療は主に病変を小さくする、減らすことです。方法としては、外用療法、液体窒素による凍結療法、局所麻酔をした上での電気メス治療、ときにはこれらを併用して治療することになります。
パートナーから、パートナーへの感染も疑われます。HIV感染を合併していることもありますので、ご希望、ご相談によっては血液検査を行います。
プライバシーに関しましては、パートナーと一緒、または別々であっても午後の予約診察枠での診察も承りますので、私達もなるべく通いやすく、ちゃんと治す皮膚科をめざして日々精進いたします。

毛じらみ

毛じらみという体長1~2mm程度の吸血性の虫が陰謀など毛のある場所に寄生することで発症します。
性的接触による陰股部、陰毛との直接接触による感染がよく見られますが、衣類・寝具などを介する間接的感染もあります。
主な症状は、強いかゆみで毛じらみが寄生している部位に現れます。

診断は、皮膚、陰部、毛髪などに虫体や卵があるかどうかで判断します。
治療については、フェノトリンを含むシャンプーを用いて治療するか、寄生部位の剃毛を行うことで毛じらみを除去します。
またパートナーがいる場合は、一緒に治療するようにしてください。

毛虱(実体顕微鏡像!)

 

子供の頭じらみの虫卵

疥癬

ダニの一種でヒゼンダニとも呼ばれる疥癬虫が皮膚表面(角質層)に棲みつくことで起こる皮膚炎(感染症)です。
性行為などによる感染者との接触や感染者と寝具を共有するなどして感染します。
寄生してもすぐに症状が現れるわけではなく、1~2ヵ月が経過した後に小さい発疹や水ぶくれができるようになります。

主な症状は、湿疹と強いかゆみで、その症状は夜間になると増強します。
また、疥癬虫自体は非常に小さく、皮膚には疥癬トンネルという、ダーモスコピーで見ないと分からない程度のトンネル状の穴が生じます。検査は疥癬トンネルを中心として、皮膚の角質の一部をとってダニや卵を顕微鏡で確認します。
2~3分くらいで終わる検査です。

治療に関しては、対症療法としてかゆみを抑えるクロタミトンなどの外用薬を使用するほか、駆虫薬としてイベルメクチンを内服します。
また、感染者の患者様と一緒に生活している方も痒みがある場合にはご相談ください。
生活上の注意に関しましては、診察時に詳しくご説明させていただきます。

ヘルペス

ヘルペスとは、(単純)ヘルペスウイルスによる感染症の総称で、顔にできる1型(HSV-1 )と外陰部や臀部などの下半身にできる2型(HSV-2)の2種類があります。
また、感染する部位によって口唇ヘルペス、性器ヘルペスなどと呼ばれます。

ヘルペスウイルスは、人と直接接触したり、ウイルスが付いた物に触れたりすることによって感染します。
一度感染すると、神経細胞の中に隠れ潜んでしまいます(潜伏感染)。
なお潜伏したヘルペスウイルスは、現在のところ退治することはできません。
そして体の抵抗力が衰えている時などに、このウイルスが急に活発化し再発を繰り返すようになりますが、初感染の頃と比べると症状は軽くなっています。

成人でよく見られるヘルペスは口唇ヘルペスで、病原体は「単純ヘルペスウイルス1型」です。
症状としては唇のまわりに赤い小さな水ぶくれができ、かゆみや痛みが伴います。
そして数日すると口唇あたりに浮腫性の紅斑が生じ、小さな水疱が集結していきます。
その後に膿疱やびらん状態から、かさぶたを形成するようになり、1週間ほどで治癒します。

また、性器ヘルペスは、「単純ヘルぺスウイルス2型」が病原体で性行為による皮膚・粘膜病変部との接触により感染します。
症状としては性器にかゆみや痛み、不快感といった症状が現れ、その後に水ぶくれやびらんができるようになります。
このほかのヘルペスには、乳幼児が1型に初めて感染することで発症するヘルペス性歯肉口内炎もあります。

なお、ヘルペスの治療では、抗ヘルペスウイルス薬を主に用います。
また、痛みが強い場合は鎮痛剤を使用することもあります。
性器ヘルペス抑制療法も行っておりますので、繰り返し性器ヘルペスの症状を起こす場合には、ご相談ください。

帯状疱疹

この疾患は水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで起きる病気であるため、水ぼうそうを発症した方に限定されます。
子どもの頃に水ぼうそうを発症した方もいるかと思いますが、水ぼうそうの原因でもある水痘・帯状疱疹ウイルスは、実は治癒後も体内に潜伏し続けているのです。

その後、免疫が低下している状態(悪性腫瘍やケガ、ストレスなど)になった際に潜伏していたウイルスは活発化し始め、神経痛のような痛みが出始めたり、痛みを感じた部位から小水疱が帯状に生じたりします。
この状態を帯状疱疹と言います。

成人になってから発症する場合がほとんどですが、小児でも稀にあります。
その場合の症状ですが、神経の流れに沿うように全身にわたって帯状の水庖が現れるようになります。
ただ痛みは大人ほどありません。

治療では抗ヘルペスウイルス薬を使用します。腎機能障害のある患者様や、透析を行っている患者様では内服薬の量を調整しますので、問診時に体重や病状を教えてください。(お薬手帳の持参もお願い致します)
痛みはあまりなかったとしても、合併症が発症することも考えられることから速やかな治療が望まれます。
入院が必要な場合や、目の合併症、耳の合併症が予測される場合には高次医療機関にご紹介いたします。
神経痛に関しては、当院では内服中心の治療を行います。

帯状疱疹ワクチンに関しましては、不活化ワクチン(シングリックス:自費診療 24800円/1回)を50歳以上の方に8週間おき2回行っております。50歳以上の方はご相談ください。

やけど

皮膚や粘膜が熱などの刺激で損傷している状態をやけど(熱傷)と言います。
この損傷は、一定時間以上高温のものが皮膚に触れたことで起こります。

皮膚の損傷度によりやけどの治療法は異なり、主に1度~3度に分類されます。1度とは表皮のみのやけどで、皮膚が赤くなるほか、ヒリヒリとした痛みがあります。
2度は真皮に達するやけどで、赤みやむくみだけでなく、水ぶくれも生じた状態を言います。
3度は、皮膚のすべてが損傷している状態です。
この場合、乾燥や痛みを感じることはありません。

1度のやけどについては、軟膏やクリームの塗布、創傷被覆材の貼付が基本です。
ただ、患部の範囲が小さくてもかぶれや細菌感染を起こしやすいので要注意です。
2度では、水ぶくれを割らないで行う治療に努めた方が治りは早いと言われます。
ただ、割れてしまった場合は、毎日数回のシャワーと石鹸で患部を洗い、清潔にすることが大切です。
また顔や陰部などをやけどした場合は、早急に大きな病院などの高次医療機関で適切な処置を受けるようにしてください。
なお3度に達するやけどは、瘢痕などの後遺症が残るリスクが高いので、速やかに大きな病院などの高次医療機関を受診していただくか、当院からご紹介いたします。

皮膚潰瘍

皮膚や粘膜が何かしらの原因で障害を受け、それが進行することで上皮組織が欠損した状態が皮膚潰瘍です。

ヒトは本来、傷を受けても自然治癒能力が働くのですが、糖尿病や動脈硬化症、膠原病などを発症していると、この働きは鈍く、傷が治りにくい状態となり、皮膚潰瘍を起こすようになります。
また、外部(布団やベッドなど)と触れる部分の皮膚が、長い間圧迫され続けたことで血流が不足し、皮膚潰瘍になることもあります。
これを褥瘡または床ずれと言います。

治療については、症状が初期でも重症でも、まずは患部の保護に努めます。
また、感染症を合併すると、生命にかかわるので、壊死(組織が局所的に腐ってしまうこと)した皮膚を取り除く必要があります。
その後は、病態に応じた適切な外用治療を行います。

また褥瘡治療については、予防も並行して行います。
そうしないと、また同じところに褥瘡ができてしまうからです。
予防としては、患部への圧迫を極力避けたり、適切なスキンケアを施したりします。
当院ではまだオンライン診療には対応しておりませんが、近い将来褥瘡の患者様のご家族のご協力を得てオンライン診療で療養環境を整える試みをおこないたいと考えております。

蕨・戸田地区の老人ホーム入所中の患者様に関しましては、遠方にお住まいのご家族の付き添いが困難なようでしたらデジスマ診療アプリ(予約・診療費・材料費お支払い用)を用いて水曜日午後に往診を行っておりますのでお電話で受け付けにご相談ください。(院長のみの往診となりますので、往診時の直接の現金の授受はございません)

たこ・うおのめ

たこ

皮膚のある一点に圧迫や摩擦が加わり続けることで、圧を加えている皮膚の角質が硬くなっている状態がたこです。
広い範囲で均一に角質が厚く硬くなるので、痛みは生じません。
触った感覚が少し鈍くなることがあります。

たこには、鉛筆などの筆記用具を用いて、長期間同じような持ち方で、ある一点に圧を加えて書き続けることで、触れている部分にたこができるペンだこ、空手など格闘技の鍛錬で生じる拳だこなどがあります。
なお、たこを取り除きたい場合は、直接削ったり、サリチル酸貼付薬や軟膏で患部を軟らかくしたりして取り除くことができます。

うおのめ

足の裏や足の指の間に発生するケースがほとんどで、歩くときに痛みが伴います。
うおのめの発症メカニズムですが、足の皮膚のある一点に圧迫や摩擦などの刺激が長い期間加わり続けることで皮膚の角質は硬くなっていきます。
そして、それが蓄積していくことで皮膚の表面は厚くなり、その角質の中心は芯のように硬くなって皮膚の内側へと侵入していきます。
この芯の部分が魚の目に似ていることから、うおのめと呼ばれるようになりました。

うおのめは痛みがひどい場合は取り除く必要があります。
治療法としては肥厚した角質を削り薄くするようにしますが、角質のかなり深い部分まで達することがあるので、必ず医療機関で行うようにしてください。
麻酔は必要がないことがほとんどですが、うおのめのまわりを含めて固いところを除去することによって、症状はかなり楽になります。
ただ、再発もしますので、また痛くなったらご来院ください。

蜂窩織炎

皮膚の深い部分から皮下脂肪組織にかけて起こる化膿性の炎症(細菌感染症)を蜂窩織炎と言います。
黄色ブドウ球菌が主な原因菌で、毛穴や汗管、小さい傷、あるいは骨髄炎など深い感染部位から菌が皮下脂肪組織に侵入し、発症します。
感染している部位は赤く腫れあがり、熱感や痛みを伴っている場合がほとんどです。
顔や四肢によく現れます。
また、全身の症状としては、発熱や倦怠感などがあります。

この疾患は、水虫の不適切な治療や、外傷、ステロイドを服用している方、免疫力が低下して感染症を招きやすい基礎疾患をお持ちの方によくみられます。

治療では、赤く熱感のある場所は安静にして冷やします。
適切な抗菌薬の内服、あるいは点滴静注が必要なので、早めに皮膚科を受診する必要があります。
なお、糖尿病、透析を行っているの場合、下肢の動脈硬化が強い場合には治療に比較的時間がかったり、潰瘍が生じる場合があります。

高熱、著しい患部の腫脹を伴う場合には入院可能な病院での入院治療が必要になってきますので入院可能な医療機関にご紹介いたします。
早めの受診をよろしく御願い致します。

ひょう疽

細菌などが手足の爪周辺にある小さな傷から入り込み、炎症を起こしている状態をひょう疽(細菌性爪囲炎)と言います。
指に刺さった小さなトゲやちょっとした傷口から細菌が侵入することもありますが、どこから菌が侵入したのかはっきりしないこともあります。
多くの場合、ブドウ球菌などが傷口から侵入することで、ひょう疽を起こします。

症状としては、爪の周囲が赤く腫れて痛み、炎症が進むと膿が溜まり、指先の関節が腫れて曲がらなくなることもあります。
初期の段階からズキズキとするような激しい痛みを生じるのが特徴で、そのままの状態で放っておくと炎症がリンパ管に沿うように広がっていき、リンパ管炎や蜂窩織炎となります。
このような症状になると腫れるのはもちろん、さらに痛みが増します。

治療では、主に原因菌に適した抗菌薬の軟膏を塗る、抗菌薬の内服を行いますが、蜂窩織炎になった場合には抗菌薬の点滴、場合によっては入院可能な医療機関での入院治療が必要となります。
痛みが強いときは、痛み止めを使用します。
また、膿が溜まって白くなっているのであれば、切開のうえ膿を出すこともあります。
なお、ひょう疽は手の荒れやすい方は特に発症しやすいので、日頃のスキンケアを怠らないようにしてください。

異物(皮内異物)

皮膚の中にある異物が抜けない、またはトゲが刺さったので取り除いたもののまだ残っているような感触があるというような場合は、当院をはじめとする皮膚科を受診なさるようにしてください。
なお、毛抜きなどで抜けそうな場合は、自ら処置をして、傷の周囲を消毒しておけば問題ありません。

ヒトの体は傷を受けても自然治癒能力が働くので、トゲなどが残っていたとしても自然と体外の方へ出るようになりますが、何も処置をせずにいると出るまでの間に細菌感染症などを起こすおそれもありますので、きちんと抜いておくようにしてください。

当院で、皮内にある異物を取り除く場合は、ダーモスコピーを用いて患部の状態を拡大してよく確認したうえで、麻酔、切開、異物除去、創傷処置など、適切な治療を行います。

にきび

にきびは、皮脂の過剰な分泌と毛穴の詰まりが原因で起きる皮膚疾患です。
正式には尋常性ざ瘡と言います。顔をはじめ、胸や背中といった皮脂の分泌が多い箇所でよく見られます。

原因となる過剰に分泌した皮脂は毛穴に溜まっていると、面皰(めんぽう)という状態になり、この面皰を栄養源にして、にきびの元となるにきび菌(アクネ菌)は増殖していくのです。
そのような状態になると膿を含んだ赤いブツブツが発生していきます。
これがにきびです。
治りにくいばかりか、症状をさらに悪化させると袋状のしこりや痕が残ることもあります。

発生の要因には、ホルモンの乱れやストレス、乾燥肌、毛穴の汚れ、アクネ菌の繁殖、睡眠不足などが指摘されていますが、まだ完全には解明されていません。
なお、にきびは思春期特有の症状と思われがちですが、成人であっても不規則な生活などが続くと症状が出やすくなるので要注意です。

治療は、保険診療では主に抗菌薬やレチノイド、過酸化ベンゾイルの外用薬、抗菌薬、ビタミン剤、漢方薬などの内服薬がありますが、症状の度合いなどから適切な治療法を選択します。
スキンケアなどに関してもご質問ください。
保険治療での治療に限界があるときには自費診療をおすすめする場合もあります。

粉瘤

皮膚の陥入により袋ができてしまい、その中に老廃物や皮脂が溜まった半球状の良性腫瘍が粉瘤です。
大きさは直径にして1~2cm程度ですが、ごく稀に10cm以上になることもあります。
皮膚エコー検査でわかりやすく診断できます。

見た目はにきびとよく似ていますが、中央に黒点状の開口部があるのが特徴で、これを指などで強く圧迫して潰そうとすると臭いを伴う粥状の物質が排出されます。
発生しやすい部位は、顔、首、背中、耳の後ろなどで、複数個が同時に多発する場合もあります。
また外傷が原因で、手のひらや足の裏にできることもあります。
なお、自覚症状はありませんが、細菌による二次感染をした場合、嚢腫壁を破ったりすると発赤や痛みなどが出ます。
この場合は炎症性粉瘤と呼ばれます。

良性腫瘍ではありますが、腫瘍自体が大きくなったり、生活に支障を及ぼす場合は、炎症を起こしていない時に外科的手術による除去を行います。
よほど巨大な粉瘤でなければ、局所麻酔による日帰り手術が可能です。
なお炎症を伴っている場合は、抗生物質の服用、あるいは小さく切開して膿を出したりして、炎症を抑えます。

稗粒種

稗粒種は、小さな白い老廃物の粒(直径1~2mmほど)が皮膚の表面に現れる疾患です。目の周りに発生することが多く、額や頬などにも現れることがあります。
毛穴の奥にある毛包や皮脂腺に角質が溜まっていたり、傷跡などにより汗腺の先端が塞がっていたりするような場合に発生しやすくなると言われています。

痛みやかゆみなどが生じることはなく、そのまま放っておいても問題はありませんが、どうしても見た目が気になるという場合は、治療を行います。
治療法とは、内容物の除去であり、針の先などで、粒を刺して、内容物を押し出すといった処置になります。
目の周りなど、皮膚の薄いところでは、内容物を押し出すときに皮膚に内出血を起こす場合がありますが、1ヶ月以内に自然に内出血は吸収されて消えます。

ほくろ

ほくろは、メラノサイトと呼ばれる色素細胞が皮膚の一部に集まったものを言います。
医学用語では、色素性母斑や母斑細胞性母斑などと呼ばれています。
多くは、見た目が気にならなければ放置でかまいません。
ただ、稀にほくろだと思っていたものが実は皮膚の悪性腫瘍(悪性黒色腫)だったということもあります。
この場合は、短期間で急拡大したり、色が濃くなったり、色素が周囲の皮膚に染み出してきたり、潰瘍化、白色化していくといった症状が見られます。
なお、色素性母斑はご本人が希望すれば切除は可能ですが、場所によっては傷跡が目立ってしまう場合もありますので診察した上で手術のリスクに関してもご説明したいと思います。

治療に関しては、最初にダーモスコピーで悪性の可能性を完全に除外できるものであれば、病変を手術で切り取り、病理組織検査を行います。
また、小さいもので見た目的に取り除きたい、などのご希望があれば、高周波メス切除も可能ですが、自費診療となります。
高周波メス切除では、にきび痕程度の瘢痕が残ります。
病理組織検査でほくろの細胞がとりきれているかどうかは確認できませんので再発の可能性もあります。
再発した場合には、これもまた自費診療となりますがQスイッチルビーレーザーを用いて再発部の色素をとります。
なお、切除時は局所麻酔を行いますので痛みは軽減されます。当院ではまだ炭酸ガスレーザーを用いたほくろ切除(自費診療)には対応しておりません。(近い将来には導入を考えております。)

脂漏性角化症

加齢による皮膚の老化が原因で発生する小さなブツブツや隆起性の腫瘤を脂漏性角化症といいますが、これはいぼの一種でもあるので老人性疣贅とも呼ばれています。
中年以降によく見られます。

発症要因として、紫外線や遺伝による影響も指摘されていますが、詳細はまだ明らかにはなっていません。
手のひらや足の裏以外であれば、全身どこにでも生じ、ゆっくりと大きくなっていきます。
サイズは5ミリ~数センチほどとバラつきがあり、表面はかたいものもあれば、軟らかいものもあり、形状も平らなものから隆起するものまで様々、色も肌色から褐色、黒色までいろいろありますが、すべて良性です。
人によっては、かゆみが現れることもあります。
良性の判断はダーモスコピーを用いて行います。

脂漏性角化症は、日光角化症や悪性黒色腫などと症状がよく似ているので、まずそれらとの鑑別が必要です。
また、全身に多発するような場合は、内臓に生じたがんに関連して出現していることもありますので注意が必要です。

治療については、いぼの治療と同様に液体窒素による凍結療法を行います。
小さければ1回で治し切ることもできますが、大きい場合は何回か繰り返し通院するようになります。

日光角化症

日光などの紫外線を浴び続けたことで発症する皮膚疾患で、皮膚の一番表面にある表皮の中に留まっているがんでもあることから、表皮内がんとも呼ばれます。

ただがんと言いましても、表皮にとどまっているので、急速に進行して直ちに生命にかかわるという状態ではありません。
患者様の傾向としては、女性の割合が高く、発症は50代から見られることが多いです。

痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどなく、皮膚表面のカサつき、赤いまだら状のしみ、かさぶた、1~3センチの丸く輪郭のあいまいな発疹などが主な皮膚症状として現れます。
これらは日光がよく当たる部位でもある頭部や顔、手の甲などに生じます。症状から老人性のいぼと間違われることもあります。
ダーモスコピーを用いて日光角化症が疑われる場合には、皮膚生検を行い(局所麻酔を使って病変部の一部を切除します)、病理組織検査を行って診断します。

治療は外科的な治療とそれ以外の方法に大きく分類されます。
皮膚癌への進行が疑われる場合や、患者様の状態により医師が手術のほうが妥当と判断した場合、手術による切除になります。
範囲が大きい、手術に伴うリスクが多い場合には、手術が可能な医療機関にご紹介いたします。
それ以外の治療が有効と判断した場合は、液体窒素による凍結療法、クリームや軟膏などによる治療が行われます。
そのほか、直射日光を避け、紫外線を浴びすぎないようにする予防対策も必要です。

皮膚がん

皮膚に生じる悪性腫瘍を総称して皮膚がんと言います。
主な種類には、表皮の最下層である基底層や毛包などを構成する細胞が悪性化することで発症する基底細胞がん、有棘層(表皮の中間層)を構成する細胞から発生する有棘細胞がん、皮膚のメラニン色素を作る細胞が悪性化することで発症する悪性黒色腫などがあります。

悪性腫瘍は近くの組織に進入したり、遠隔転移したりして増え続け、生命にも影響を及ぼすようになります。
皮膚がんには悪性黒色腫など、ほくろやしみ、おできなどと紛らわしいものもありますので、皮膚に気になる腫瘍があるなどの変化が生じましたら、早めにご相談ください。

皮膚がんが疑われる場合は、ダーモスコピー皮膚エコー検査、皮膚生検、病理組織診(腫瘍の一部を採取)などの必要な検査を行い、腫瘍が良性か悪性かを調べます。悪性の場合には、当院で手術可能なものは当院で行い、その後数年間にわたって再発の有無をフォローいたします。
しかし大きさや部位、悪性度が強い場合には、手術や転移の検査、リンパ節郭清や抗癌剤治療が可能な医療機関に紹介いたします。

円形脱毛症

頭にコイン大ほどの丸いはげ(脱毛斑)が、ある日突然生じてしまうのが円形脱毛症です。
この脱毛斑は一ヵ所とは限らず、多発することもあります。
また、症状は脱毛斑とも限りません。
時には頭全体の毛が抜けたり、全身の毛が抜けたりすることもあります。

これまで円形脱毛症は、精神的ストレスが主な原因と考えられていましたが、必ずしもストレスばかりが当てはまるわけではなく、遺伝的要因や免疫異常によるものではないかという指摘もあるなど、発症の原因は完全には明らかになっていません。

なお、脱毛斑が少ない場合は自然に治るケースがほとんどですが、広範囲に症状が見られている場合は、数年以上に渡って続くこともあります。
毛包の幹細胞が残っている場合には、治療を行うことで毛髪が戻る可能性はあります。

治療法としては、ステロイドなどの外用薬の使用、内服薬、ステロイドの局所注射、液体窒素冷凍凝固法や、エキシマライトを照射する方法など様々ありますが、病気が始まってからの期間と脱毛面積などにより、治療方法は決められます。
局所免疫療法(SADBE法)も自費診療で行っております(自費初診料、自費再診料がかかります。副作用の痒み、かぶれに対しては保険診療の範囲で対応いたします。)

尋常性白斑

皮膚の色というのは、一般的には表皮の中に含まれるメラニン顆粒の量に応じて変化し、このメラニン顆粒は皮膚の一番底にあるメラノサイトという細胞でつくられます。
何かしらの理由でこのメラノサイトが壊されてしまい機能が低下するようになると、メラニンの産生というのは極度に低下もしくは消失し、皮膚の色が部分的に白く抜けるようになるのですが、これを尋常性白斑と言います。
なお、見た目の問題以外の症状はありません。

白斑の治療では、ステロイド薬、ビタミンD3、免疫抑制薬といった薬物療法や紫外線療法、エキシマライト照射などを行います。
治療には時間がかかりますので、その間の脱色部の色調を化粧品を用いて目立たなくする方法に関してもご提案いたします。

掌蹠膿疱症

膿疱とは膿が溜まっている水疱のことを言いますが、この膿疱が手のひらや足の裏にたくさん生じている疾患が掌蹠膿疱症です。ちなみに膿疱の中身は、炎症反応に関係する好中球(白血球の一種)が、角層に溜まった状態のもので、小さな水ぶくれ(水疱)が生じた後に膿疱へと変化したのです。
このほかにも、足のすねや膝に発疹が出ることもあります。

主な症状ですが、発生し始めの頃にかゆみが伴います。
人によっては、首や鎖骨付近、あるいは腰などが痛むこともあります。
なお足の裏の膿疱は水虫と症状がよく似ていますので、しっかり鑑別するためにも皮膚科を受診するようにしてください。

治療では、炎症を抑える外用薬としてステロイド軟膏やビタミンD3軟膏を用います。
しかし、外用薬では改善効果がみられない場合は、抗菌薬やビタミンA誘導体などの内服薬を服用することもあります。
紫外線療法やエキシマライト照射を行うこともあります。
症状が重症の場合には、生物学的製剤の注射を行うこともあります。

薬疹

治療の際に使用した服用薬や注射などの薬剤でアレルギー反応を起こし、皮膚に様々な症状が現れている状態を薬疹と言います。
ただ、アレルギー反応と一口に言いましても、原因とされる薬を使用してから過敏反応(アレルギー症状)を起こすまでには、タイムラグがあり、2~3週間後に発症することが多く、さらにこれまで使用していた薬で何も問題が生じなかったものであっても薬疹を起こすこともあります。

薬疹の主な症状には、全身に赤い発疹ができる、ただれ、かゆみ、じんましんなどの症状がみられますが、口の中や目のまわり、外陰部などに発疹や水ぶくれが生じているなどの場合は、重症化するケースも考えられます。

治療では、まず原因となる薬剤を特定し、その使用をただちに中止します。
経過を観察しながら、必要に応じて、ステロイドによる薬物療法を行います。
かゆみがみられる場合は、抗ヒスタミン薬なども併用します。
重症の場合は、入院による点滴療法を行います。
薬疹を考える場合には、必ず使用しているお薬の履歴がわかるもの(メモやお薬手帳)をご持参ください。
市販薬でも薬疹は起こりますので、市販薬のパッケージや製品そのままをご持参ください。

多汗症

エクリン汗腺からの発汗が亢進している状態で、日常生活に支障をきたすほど汗が出ている場合は、多汗症と診断されます。
多汗症には、全身にみられる全身性多汗症と体の一部(手足や額、わきなど)に限定的にみられる局所性多汗症があります。
大量に汗を掻く原因に思い当たる節がなかったとしても、その原因を探り出し、その後適切な治療を行います。

全身性多汗症には、高温多湿の環境、運動時といった生理的に多汗であるという理由以外にも高熱やバセドウ病、糖尿病などの疾患を発症している方、妊娠や肥満といった場合も考えられます。
一方、局所性多汗症では、情緒性発汗が多いとされ、精神的緊張によるもの、元々該当する局所が汗を掻きやすい体質であることなどが考えられます。

多汗症の治療法としては、収斂(しゅうれん)作用(組織を縮める作用)があり、汗腺の穴を塞ぐこともできて汗の量を減らすという塩化アルミニウムの塗り薬(自費診療となります)をはじめ、ソフピロニウム臭化物(保険診療となります)、ボツリヌス菌が産生する毒素から抽出した成分の薬剤を皮下に注射して発汗を抑える注射療法(検査にて重症腋窩多汗症と診断された場合には保険診療となります。それ以外は自費診療となります)が主な治療法となります。

小児皮膚科

乳児湿疹

乳児期(満1歳未満)に皮脂腺の分泌が多いとされる頭や額、あるいは擦れる部分を中心に黄色いフケが出たり、カサカサした紅斑ができたりする症状を乳児湿疹と言いますが、アトピーなのか脂漏性皮膚炎なのか、それ以外(アレルギーなど)の湿疹や皮膚炎なのか鑑別が難しい場合も、この疾患名で呼ぶことがあります。

乳児湿疹は、皮脂による刺激や、ヒトの毛包脂腺系に常在するマラセチアという真菌(カビ)が原因ではないかと考えられていますが、まだ全てが解明されているわけではありません。

なお乳児は、生後1ヵ月より皮脂の分泌が亢進していきますが、乳児湿疹も同時期から発症し、ほお、額、耳の周辺などに赤いブツブツができてきます。
しかし、生後6ヵ月頃になると、これらは次第に消えていくようになります。
治療についてですが、炎症が強い場合はステロイド外用薬を使用します。
また入浴の際は、患部を強くこすらないように気をつけながらよく洗い、皮脂の付着を減らします。

乳児脂漏性皮膚炎

乳児は生後2~3ヵ月くらいまでは、ホルモンの影響もあり、過剰に皮脂が分泌されます。そしてこの状態により、引き起こされる皮膚トラブルが脂漏性皮膚炎です。

この疾患で見られる症状は、カサカサしたものから、じくじくしたもの、分厚いクリーム色のかさぶたが付着するものまで様々で、おでこや頭部、耳の周辺、股部、わきの下など、皮脂腺の多い場所によく見られます。
皮膚の新陳代謝が通常より早まっていることで、過剰な角質が蓄積してカサカサし、フケのような状態になるのではないかと言われています。

このような症状は、乳児期によく見られる一過性の変化なので、正しくケアをすれば、それだけで改善することもあります。
ただし、湿疹化した場合は治療が必要になり、マラセチアに対するアレルギー反応が悪化因子として疑われる場合は抗真菌薬の外用薬を用いるほか、炎症が強い場合は短期的にステロイド外用薬も併用します。

おむつ皮膚炎

おむつ皮膚炎とは、乳児がおむつを装着している部位に生じる皮膚の炎症のことで、一般的にはおむつかぶれと呼ばれているものです。

尿や便に含まれているアンモニアや酵素などによる刺激、そしておしりを拭く際に生じる摩擦行為などの外的な刺激も加わることで、おむつが当たるとされる部位に赤いブツブツやただれが発症するようになります。
なお、皮膚のしわの間に皮膚炎がみられる場合は、カンジダ皮膚炎の可能性も考えられます。
カンジダは皮膚炎の部分の角質を検査することによってわかります。(検査は2~3分でできます。)

治療を行うにあたっては、ぬるま湯でおしりを泡でやさしく洗い、処方された薬を塗ります。
皮膚炎のある部分は、なるべく通気性をよくして清潔を保ちますが、おしりふきなどで強くこするのはなるべく避けてください。

虫刺され

蚊をはじめ、ダニ、ノミ、アブ、ハチ、ケムシなどの虫に刺されたり、接触した箇所に生じる赤みを伴う発疹のことを虫刺されと言います。

症状の程度は、別段治療を受けなくてもかゆみを我慢すれば間もなく治まる程度のものから、すぐに毒抜きなどの処置が必要なものまで様々です。なかでも注意しなくてはならないのは、ハチに刺された後で、場合によっては、血圧低下や意識消失など、強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)が起こることもあります。

虫刺されによる皮膚症状は、大きく分けて痛みとかゆみの2つに分類されます。
痛みについては、虫が皮膚を刺したり、咬んだりすることによる物理的な痛みのほか、皮膚に注入された物質の化学的刺激による痛みがあります。
かゆみについては、皮膚に注入された物質(唾液腺物質や毒成分)に対するアレルギー反応によって引き起こされます。
このアレルギー反応には、「即時型反応」と「遅延型反応」があります。

即時型反応では、虫に刺された直後からかゆみや発赤、じんましんなどが現れますが、そのような症状は数時間後には軽くなります。
また遅延型反応では、虫に刺されてから1~2日後にかゆみ、発赤、ブツブツ、水ぶくれなどが生じ、数日~1週間程度で症状は軽くなります。
このようなアレルギー反応の出方は、虫に刺された頻度やその人の体質によって大きな個人差が生じるのが特徴です。

治療につきましては、ステロイド軟膏を短期間使用します。
そして虫刺されによる腫れやかゆみが強い場合は、抗アレルギー薬を用います。
また、場合によってはステロイド薬の内服が必要になることもあります。
マダニに噛まれた場合には、無理にむしり取らずにそのままご来院ください。
マダニの口が皮膚の中に刺さっていることがありますので、麻酔をして刺さっている皮膚ごと取り除き、マダニが媒介する病気を予防する抗菌薬を内服します。

ハチアレルギー、ハチによるアナフィラキシーの心配がある方には、もしもの時のための筋注用のアドレナリン(エピペンR)の処方もいたします。ご相談ください。

かぶれ

皮膚に直接触れたものの刺激や毒性が原因となって起こる炎症や湿疹をかぶれと言いますが、小児が起こすとされるかぶれには、刺激物やアレルゲンによって引き起こされる皮膚の炎症などがあります。
子どもによく見られる代表的なかぶれは以下の通りです。

よだれかぶれ

唾液が原因による肌のかぶれで、唾液の成分にはアミラーゼという、でんぷんを分解する消化酵素が含まれています。
この酵素を含む唾液が肌に触れることで炎症が起きるようになるのです。
なお、かぶれがよく生じる場所は、口周りや頬などです。

治療については、よだれを丁寧にやさしく拭く、ワセリンなどの保湿剤を塗るといったことを行います。
ご自宅でのケアだけでは済まないような症状(赤みが引かない、かゆみが伴うなど)がある場合は、速やかに皮膚科をご受診ください。

口なめ皮膚炎

唇などの乾燥を気にして舌で口周りを舐めることで起きるかぶれです。
唾液の刺激で舐めた周囲が赤くただれるほか、色素沈着が見られるようになります。

治療ではよだれかぶれと同様に乾燥を防ぐためのワセリンなどの保湿剤を用いるほか、赤く炎症を起こしている患部にはステロイド系の外用薬を使用します。
舐めるのをやめさせるために、わざとまずい軟膏を用いて舐めないようにすることもあります。

砂かぶれ

砂遊びをした子どもの手のひらと足の裏に赤い発疹がみられることから、砂かぶれと呼ばれるようになりました。
なお、砂遊びをしていなくてもこのような症状が起きることがあります。
主に2歳前後の幼児に発症しやすく、学童期までには治ってしまうと言われています。

症状としては手の平や足の裏・外側が真っ赤になり、ブツブツができたりします。
このようになる原因として、ウイルス性の疾患ではないかとも言われています。
治療では、主にステロイド外用薬や保湿クリームなどを使用します。

植物によるかぶれ

子どもは公園や広場などで様々な遊びに興じ、また大人と比べ背も高くないことからたくさんの植物に触れています。
そのような中でかぶれのような症状(触れた部分が赤くなる、水ぶくれができるなど)を引き起こすケースがよく見受けられます。

かぶれの症状を起こすことが考えられる植物には、ウルシ、ハゼ、ギンナン、イラクサ、サクラソウ、キクといったものがあります。
これらはいずれもアレルギー性によるかぶれであるので、同じ植物に触れると同様の症状を引き起こすようになります。

もし、そのような植物を触ったことがあるようでしたら、お知らせください。
保育園/幼稚園、学校での対応などもご相談ください。

あせも

あせも(汗疹)は汗を掻きやすい夏の時期に発症しやすい皮膚疾患です。
乳幼児は、皮膚のバリア機能が未発達で汗腺が密集していることから詰まりやすくなっているので、多量の汗を掻くと、皮膚に細かい水ぶくれやブツブツが現れるようになります。

治療についてですが、症状がひどい場合は、ステロイド外用薬や抗生剤などを用います。
また再発を繰り返さないために、通気性の良い服を着用し、汗が出たらシャワーで流したり、皮膚の保護のために保湿剤を用いたりします。

とびひ

正式な疾患名は「伝染性膿痂疹(のうかしん)」です。細菌感染によって発症する皮膚疾患で、人から人へとうつります。
湿疹や虫刺されの患部などを掻き壊した部位から手などを介して、瞬く間に水ぶくれが全身へと広がっていきます。
その広がり方が、まるで火の粉が飛び火する様に似ていることから、一般的には「とびひ」と呼ばれています。

とびひの主な原因は黄色ブドウ球菌で、これが毒素を産生することで水疱やびらんが生じるようになります。
夏の時期に小児がよく発症します。
アトピー体質の小児、大人でも、掻いているうちに細菌感染を起こし、とびひになることがあります。

とびひになった場合には、シャワーなどで患部を清潔にします。
疾患を拡散させないよう毎日清潔なタオルや衣類を身につけてください。
治療では、主に内服や外用の抗菌薬を使用します。
強いかゆみや炎症がある場合は、ステロイド外用剤や、亜鉛華単軟膏、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服などを用います。

水いぼ

水いぼは、幼児から小学校低学年の児童に発症しやすい皮膚感染症です。
伝染性軟属腫ウイルスが原因で発症することから、正式には「伝染性軟属腫」という病名で呼ばれています。
この病気は、アトピー性皮膚炎を発症している小児が発症しやすいという特徴があります。
ただ、アトピーでない子どもであっても、プールなどで、タオル、浮き輪、ビート板等を一緒に使うことで感染することもあります。

水いぼは見た目が白く光沢があります。
直径2~10mmほどの大きさで、手足などによく発症します。
また患部に接触したり、患部を触ったものを介したりして感染すると、水いぼの数は増えていきます。
時々痒みを伴うことがあります。

そのまま放置をしても半年~1年半ほどで自然に治癒することから、これといった治療をしない場合もあります。
ただ、感染力が強く、集団生活の感染予防の点で除去する処置を行う場合があります。
治療はいわゆる除去になりますが、その方法とは、専用のピンセットで一つずつ摘まみ、内容物を出すというのが一般的です。
その際に強い痛みが生じるので麻酔のテープ(ペンレステープR)を用います。
一時間ほど貼ってから処置を行います。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME